中川義光 氏 

【会長挨拶 中浦政克会長】
倫理法人会では、今月がいよいよ年度末となりましたが、奥能登は3月25日に開設から約半年、年度半ばという気持ちで、10月6日の正倫理法人会設立に向かって只今会員100社目指しています。
「職場の教養」本日の項目にもありましたように「毎朝が再スタート」という気持ちで、日々気持ちを新たにしてまいりたく思います。
倫理法人会に入会してから、細部を見直すようになってまいりましたが、私の会社の出入口には、「笑顔でない人の入室禁止」「笑顔でない人の外出禁止」と書いてあります。心は高揚することもあれば、沈む時もありますが、できることから一日ずつではなく一瞬を大切にして過ごしてまいりたいと思います。
世の中は今、新型インフルエンザがはやっているようです。輪島は22日から輪島大祭で賑わいましたが、今年は花火大会がなくなり少し寂しいようで、なくなってみると花火はお祭りに欠かせないものだと改めて感じました。
今、時代はグローバルスタンダードから、ジャパンスタンダードへ、倫理経営、倫理の道は、世界へと拡がっていますが、今日は北国銀行穴水支店長の中川義光様にジャパンスタンダードを経済の観点からお話していただきたいと思います。

【会員スピーチ 井川國雄専任幹事】
これまでの銀行の支店長が訪ねて来られてお話をすることがあまりありませんでしたが、中川さんはよく訪ねてくださっていろいろなアドバイスをしていただきます。今日は中川さんのお話をみなさんにお聞きしていただきたいと思いMSにおいでいただきました。

【講話 中川義光 氏】 北國銀行穴水支店長 今の常識 ジャパンスタンダード
銀行の支店長と言ってもいろいろなタイプの方がいらっしゃいますが、私自身は古いタイプの銀行員だと思います。成功事例を指して常識といい、新しい成功事例が生まれるとそれが常識となるようで、子供に「そんなこと常識だろう」と言っても「お父さんの常識は解らない」といわれてしまいますが、成功すると常識であり、失敗すると掟破りとか異端者と呼ばれたりします。
常識やぶりの経営者でイルカ交通と呼ばれるバス会社がありますが、ヤマトトランスポートと呼ばれる運送業を営む社長が経営されておられます。運送業であるヤマトトランスポートは、倉庫を建てたが品物の保管料を一切取らないというサービスを提供したり、弁当を持参する人の奥さんに昼食手当を出すことを実践し、イルカが海を自由に泳ぐ様が可愛いので、子供も喜ぶイルカのキャラクターを使いネーミングもイルカ交通、子どもやお奥さんを大切にしようと心がけておられます。
モラルが何故崩れてきたのか、昭和ひと桁時代の学校教育を受けた年代の学校教育のしつけから、子どものゆとり教育を受けて昭和60年頃のバブル期に入社した社員の様子からも、日本の教育や経済を含めて武士道や商人道に学ぶところが多くあります。
たとえば、儲け主義で町が崩れるといった例が温泉街でも見受けられ、近代化したホテルにスナックや売店などの設備を充実させたばかりに町をそぞろ歩く観光客の姿もなくなり、温泉町が寂れてしまうというような自分の所だけが儲かればよいという風潮ですが、ホテルは新しい設備を整えて乱立し、売上が伸びず借金だけが増えていくといった状況になってします。
山中温泉などは、ひなびた温泉と言った風情と地場産業の山中塗や風光明媚な風景など共存共栄しています。
265年平和が続いた江戸時代の士農工商の工商にも自主性や礼節が備わり、関西商人には、読み書きそろばんが必要でありましたが、今はエクセルを使いこなしてもそろばんができない銀行員もいます。
日本の企業の根幹には、義理、人情、浪花節がありますが、今は浪花節がなくなりつつあります。日本人独自の倫理感があり、恥の文化があります。
みなさんに元気になっていただきたけるか、銀行はお金を預けることや借りるばかりでなく、目先のモノに騙されることなく、誘惑に負けない戦略を考え、長期的な視野に立ってビジネスをマッチングすることが必要です。
そして、他人を信頼することが自分に帰ってきます。人も企業も、技術的なことだけでなくプロ意識を持つことです。
銀行の常識は、CS(顧客目線)、CSR(地域貢献)などがありますが、自分たちで何ができるのかを考えることが大切です。
社会の問題に合理性を追求するばかりでなく、過去の成功例にとらわれず、時と場合により悪条件は前例を振り返るチャンスです。リストラは雇用維持ではなく雇用喪失であり業界の再構築だと思います。