多田喜一郎 氏

紙谷砕石株式会社 取締役社長
テーマ「春蘭の里の地域づくり」




木漏れ日の中にひっそりと咲く春蘭、華やかさはなくても生命力がある。
自然の美しさに魅せられ豊かな水がわき、心のふれあいを求め、生きる実感がここにあります。

能登 春蘭の里

「あたり前」の素晴らしさにあふれる宿 ここでしかできない田舎体験旅行がここにある。


能登半島の山あいに拡がる豊かな里山『奥能登 春蘭の里』には、里山の恵みを受けた暮らしと人が手を入れることで保たれてきた里山の豊かさがあります。

平成8年、若者が都市へ流出し人口が減り地域はこの先どうなるんだろうと危機感を感じた多田さんは、若者が返ってくる環境を作り、農村の再生と地域の再生を目指し交流人口を増やそうと思いついたのが、ゆとりある休暇としての新しい過ごし方を提案するグリーンツーリズムと呼ばれる体験型農家民宿でした。

戦後の苦しさを乗り越えてきた元気なお年寄りが地域の資源であり、体験学習に参加する子供たちと囲炉裏を囲み語りあうと、高齢者もいきいきと顔色も良くなり、農村の再生に繋がります。
子供達には、自分の持ち分で得意な分野で地域に貢献でき、自分の人生に自信を持って暮らしてもらいたいと思います。
病弱な両親に育てられ、母は私が17歳の時に他界しましたが、私は丈夫な身体に産んでくれた両親に感謝し、両親に代わって温かく育ててくれた地域の方にも、元気な内に恩返しをしたいと思います。
現在は30軒の農家民宿が、平日は農業をして週末に民宿を営み、ゼロからのスタートが里山に4800人もの人が訪れるようになりました。
美しい自然の中に黒い屋根と白壁の集落は50年前の日本の原風景が残されている里山で、食材も地元で採れたものを砂糖や化学調味料を一切使わずに、塩、醤油、味噌で味つけた安心していただけるものを提供しています。
現在はインターネットや町の広報にも紹介されたりして、外国人からも喜ばれ、農業体験などの教育旅行としても活用されたり、能登の地域が世界農業遺産として認定されました。
確信を持って言い続けること、夢を見続けること、集落全体がまとまって、走り続けることが大切だと思います。と、きっぱりと話されました。

これまでのご苦労は並々ならぬものがあっただろうとつくづく感じさせていただきましたが、多田さんは、決してあきらめない強い信念を持ち続けてこられたこと、夢限りなくきらきらと輝いて生きておられるお姿に触れさせていただき、今朝も清々しい朝になりました。感謝

文:高名由美子

【今日の朝ごはん】