大野長一郎 氏

  【会長挨拶 中浦政克会長】

今朝の朝礼では、にっこり笑ってからお話を始めるとお互いに緊張がほぐれて和やかになれますので、奥能登では挨拶の前に、にっこり微笑みましょう。と話し合いました。
今日は雨が降っていますが、ある雨の日にタクシーに乗った時思わずぼやいてしまいましたら、運転手さんの家は農家でしたので、雨はとても大切だということを話してくれました。
自分のことばかり考えてついぼやいてしまい、社会を広く見渡すことが大切だということに気づきました。雨が降るとその時のことが思い出されます。
能登の資源を活用して人から人に繋げていこうと取り組み、県へ提出する事業計画を作成していますが、ややもすると採用される為のテクニックに気を取られてしまいがちになります。テクニックを学ぶ根底に置くのは心の問題のような気がします。


【辻由和幹事 辞令交付式】

これからも社会福祉に貢献できますよう頑張ります。よろしくお願いいたします。


【会員スピーチ 和田丈太郎幹事】

大野長一郎さんとは珠洲市青年年会議所の在職中に知り合いましたが、これまでアウトワードバウンドのチーフインストラクターとして子ども達に困難な状況に直面した時、危険な状況も踏まえて最後までやり遂げるかという場面をお手伝いしてこられました。
夢にかける情熱は人一倍持っている人です。


【講話者 大野長一郎氏】   これからの里山ビジネスの可能性

私は9月で33歳になりますが、現在は「大野製炭工場」で働いています。炭焼を専業としていますが、全国的にも珍しいようです。
地元の会社に勤め4年間サラリーマンでしたが、残菜商品を埋め立ててゴミとして山に捨てることもあり、そのことも気になっていました。
父親が45歳の時の子どもでしたので、私が20歳を過ぎた頃には体力が衰えていて、高齢の両親を抱えて養っていく将来への不安があり、工場長に相談しましたら、背中を押していただき、父親の跡を継ぐことになりました。
父が6年前に他界してから、責任感が湧いてきて青年団会長を引き受け結婚もして自分の考え方が少しずつ変わってまいりました。

40年前に燃料革命以降、父は炭を焼く人が少なくなった頃に炭焼きを始めましたが、生産者が少なくなってきましたので、エネルギーとしての炭の需要が減り、茶道用の炭の条件は厳しいものでありましたが、値段は高く売れるので茶道用の炭を作り始めました。

それまでコナラを焼いていましたが、茶道用の炭にはクヌギの6〜10年位の若木が適していますが、能登には点在していて、5年前から植林を始め、ブランド化し、植林の世話が大変で交流人口を増やすことにもなるように事業をイベント化しました。
栃木県などに炭の産地がありますが、茶道人口が横ばいしている中、需要があるのに供給できず、若い後継者が少ないのが現状です。
金沢はお茶処なのに生産地がないのはもったいないので、茶道用炭をブランド化、産地化、産業化しようと夢を持って仕事に取り組んでいます。
広葉樹の植林は水持ちが良いので、土砂災害の際にも役立ち、炭を燃焼せずに床下に蒔いたり、餌に混入、排泄物に混ぜたりしてCO₂を吸収して炭素として固定して使うこともできます。
炭の生産に適した資源に恵まれた暮らしは、CO₂の削減に努めることができます。
里山マイスターの受講生としてCO₂の削減を卒業テーマにし、炭焼を事業化してまいりました。
モノづくりには技術が必要ですが、自分を高めたり、律していくことも必要で、時には自分を追い込むこともあり、今では夢を持つことのすばらしさを話せるようになりました。